旅するダンボール

島津

INTRODUCTION

段ボールに恋した男?

世界30カ国の街角で捨てられた段ボールを拾って、かわいくてカッコいい段ボール財布に。<不要なものから大切なもの>を生み出す、いま世界からもっとも注目の<段ボールアーティスト>島津冬樹の活動に迫ったドキュメンタリー映画。あなただけの大切なもので、未来を支えるアップサイクル。

STORY

島津冬樹。いま世界が最も注目をあつめる話題の段ボールアーティスト。本人は自身を段ボールピッカーとも呼ぶ。これまでに世界30カ国を巡り、なにげない街角から捨てられた段ボールを拾ってきた。もう8年もの間、誰もが見向きもしない段ボールを、デザイン、機能性を兼ね備えた段ボール財布に生まれ変わらせている。こうして島津が生み出す段ボール財布は世界中を旅し、リサイクルや再利用といった概念のさらに先を行くくアップサイクル>の可能性として受け入れられているが、島津の思いはソーシャルな反応とは無関係に、ただひたすら段ボールが好きという、純粋さそのもの。『旅するダンボール』は、そんな島津がある日徳之島産のジャガイモの段ボールを見つけ、その源流を辿って行く旅の途中で出会う、この段ボールと深く、浅く、近く、遠く、関わった人たちとの温かい交わりを3年間にわたり追ったドキュメンタリー映画。東京で偶然に見つけたかわいらしいポテトのキャラクターの段ボールがきっかけで、島津と段ボールのつながりは、日本を飛び出し、世界へと広がっていきます。

FUYUKI SHIMAZU

島津冬樹 / 段ボールアーティスト

段ボールと向き合ってきた8年間を詰め込んだ、Cartonの今までの活動の集大成とも言える映画であり、「段ボール」という単なる素材という枠を超えた、心温まる物語が詰まっています。段ボールアートの活動を通じて、どんなものにだって、愛すべきものになる可能性があることを、そしてその可能性が生まれると、生活をちょっと面白くさせることを知ってもらえたらと思います。

PROFILE

1987年、神奈川県生まれ。2012年多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2015年、広告代理店を経てアーテイストヘ。「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、2009年より路上や店先で放置されている段ボールから、財布を作るCartonをスタート。日本のみならず、世界30ヵ国を周り、段ボールを集めては財布を作ったり、コレクションしている。国内外での展示やワークショップも多数開催している。

[ → Carton Official Website ]

FILM MAKERS

RYUSUKE OKAJIMA
岡島龍介/監督・撮影・編集

とてもハートフルな作品に仕上がったと思います。撮影当初は映画のゴールが見いだせず四苦八苦しておりましたが、「温かい」をキーワードに物語がうまく絡み合い、島津氏の活動から普遍的なフィロソフィ一を見出すゴールに到達できたのではないかと思います。撮影協力者、ロケーションなど様々なところでも人の温かさに触れ、劇中以外でも「温かい」がキーワードとなりました。小さな日本の片隅でダンボール財布を作る島津氏が、なぜ世界に注目されるようになったのか?いま世界が求めているのは何なのか?是非この映画でその答えを探してみてください。

PROFILE

宮城県出身。日本でのオンライン/オフラインエディター&番組ディレクターとして活動後、2007年に渡米。Santa Barbara City Collegeに入学後、2009年にInternational School of Motion Pictures へ編入。卒業後はロサンゼルスでフリーランスの工ディター&ディレクターとして活動。編集を手掛けた『Stranger』(2010)はビバリーヒルズフィルムフェスティバルに正式出品される。自身が監督を手掛けた『Listen to Your Bird』(2012)はフィンランドで行われたフィルムフェスティバルONE CLOUDFESTの短編ドキュメンタリーにてOCFFAV Award観客賞を受賞。CM、MV、ドキュメンタリー、ファッション、長編、短編映画とジャンルを問わず監督、編集業に関わる。2015年に日本へ拠点を移し、Avalon Picturesとして活動中。近年はMIZUNOのテレビCMなどを監督、また自身初となる長編ドキュメンタリー映画『旅するダンボール』は、初監督作ながらSXSW (サウス・バイ・サウスウエスト) 2018、ドキュメンタリー・スポットライト部門に正式出品された。

YUKO SHIOMAKI
汐巻裕子 / プロデューサー

「ただひたすら段ボールが好き!」という、一風変わってはいるけれどとてもひたむきな想いを、とことん突き詰めた島津くんが、捨てられている段ボールが持っている価値を別の角度から見出して、ゴミから素材へと変身させている"行為"が、世界の情報感度の高い人たちから評価されていく様子は、まさに「世界のいま!」を見ているようでエキサイティングな撮影になりました。「不要なものから、大切なものへ」というCarton(島津くんが主催する段ボールアートのブランド)のスローガンを、岡島監督と私で再定義した作品が「旅するダンボール」です。フィルムメイカーとしての想いは、本編のプロローグとエピローグに詰めました。島津くんを追いながら、ガラクタが誰かの宝物になる瞬間の人間の輝きのようなものを見せてもらって、「段ボールってあったかいんですよ」と最初に彼から聞いた言葉がどんどん腑に落ちていきました。この映画がきっかけで、"私はこれが好き"をもっと深く追求してい<人が増えたり、地球のことを今よりも大切に扱う気持ちが芽生えたり、ふつふつと内側から湧き上がる情熱に自分で蓋をしてしまっている誰かの肩をそっと叩くような、さりげないメッセージが伝わる映画に仕上がっていたらいいな、と思います。

PROFILE

神奈川県出身。プロデュース作に2013年SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に正式出品された『サケボム』(濱田岳主演、サキノジュンヤ監督、2013)や、渋谷のパルコを舞台にしたオムニバスコメディ『パルコフィクション』(矢口史靖/鈴木卓爾共同監督、2001)、サンダンス映画祭ドラマ部門正式出品作品『うちへ帰ろう』(原題:The Autumn Heart, デヴィッド・リー・ウィルソン監督、2000)などがある。映画バイヤーとして買い付け配給宣伝を手がけた作品は、ブリー・ラーソン主演『ショート・ターム』(2012)、グザヴィエ・ドラン監督デビュー作『マイ・マザー』(2011)、『胸騒ぎの恋人』(2012)、『MOMMY/マミー』(2015)、『たかが世界の終わり』(2017年)、『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』(2014)、『ステーキ・レボリューション』(2015)、『エスケイプ・フロム・トゥモロー』(2014)、アンジェリーナ・ジョリー製作のエチオピア映画『チャイルド・マリッジー略奪された花嫁』などがある。またサンダンス映画祭で観客賞を受賞した山岳ドキュメンタリー『MERU/メルー』(2015)は異例の大晦日に全国劇場公開され、毎年年末になると各地で上映会が開催されるなど、色褪せない作品群が映画ファンにとどまらず幅広く支持が厚い。最新プロデュース作となる『旅するダンボール』はSXSW2018、ドキュメンタリー・スポットライト部門に正式出品された。海外共同製作や日本映画の海外セールスなども手がけ、2012年カンヌ映画祭企画部門アトリエ選出・受賞。APN(アジア・プロデューサー・ネットワーク)メンバー。2018年、米アカデミー財団ビジュアル・ヒストリー・プロジェクトの日本プロデューサーを務め、名だたる日本の映画人の人生談をドキュメンタリー映像として収めるなど、映画の未来への足がかりとなるプロジェクトにも積極的に参画している。

DAICHI YOSHIDA
吉田大致 / 映画音楽コンポーザー

『旅するダンボール』では、ユニ一クな島津冬樹氏のキャラクターや、彼の活動の可能性に寄り添うことを心がけながら曲を書きました。私自身、作曲を通して島津氏の段ボールと「旅」をして、「Upcycling」という希望溢れる新しい価値観や、「生き方」や「愛」などの普遍的なテーマについて思いを馳せる素晴らしい時間を過ごすことができました。皆様にもこの作品が素敵な「旅」になれば幸いです。

PROFILE

鹿児島県出身。10代でギターの演奏と作曲を始める。Rock、Funk、Jazzなど様々なバンドへの参加やシンガーとのコラボレーションを経て、20代にはHip HopユニットMiko-DのトラックメーカーとしてWess RecordよりCDデビューし、数多くのスポーツイベントと番組のテーマソング等を手掛ける。同時に日本初のプロストリートボールリーグ“Legend”をはじめとする、ストリートスポーツの映像クリエイター、イベントオーガナイザーとしてもキャリアを積む。2010年渡米。ロサンゼルスのUCLA extensionにてFilm Scoringを 専攻し、ハリウッドスタイルの映画音楽作曲、オーケストレーションを学ぶ。2011年には米国SCLが主催する Mentorship Program 2011の参加者に選抜され、ハリウッドのトップコンポーザー陣に指事。 Rockからクラブミュージック、さらにオーケストラまで音楽的な表現の幅を広げ、現在は日米の映画やコマーシャル音楽を中心に作曲活動を行っている。


[ フィルモグラフィー ]
旅するダンボール (SXSW2018正式出品)、サケボム(SXSW2013正式出品)、エキストランド(2017)、CHAINなど。TVCMではPanasonic VIERA Beautiful Japan 宮城、Mizuno 箱根駅伝ver.、Sony Cyber-Shot RX100、ブリジストン X-DRIVE、成田空港 2014などがある。